食事介助で気をつけること

認知症を抱える高齢者の食事介助を行う時、よく噛まずに飲み込んで嚥下障害等を起こすことがあります。こうした場合、一般的には呼吸困難に陥いらないよう水分補給と併せてゆっくり咀嚼することを勧めることが必要です。

ただし、認知症の高齢者に対しては、慌てて飲み込む原因を考えなければなりません。時間感覚が混乱している認知症ならば、夕方なのに深夜と誤解して食事の後すぐ就寝しなければならないという強迫観念にかられて食事を急いでいることもあるでしょう。
こうしたケースでは、「夕食の後は8時からドラマを見るのですね」などと声かけし、少量を盛った皿を一皿ずつ出して口の中へ大量に詰め込むことを防ぐ工夫をします。

一方、食事を拒否したり少量しか食べようとしなかったりすることもあるでしょう。食事拒否の意志が強いと、食べたくないなら無理強いしない方が良いと考えがちですが、実は食欲があるのに認知症ゆえの障害により拒否している場合があるので、注意しなければなりません。

記憶障害により既に食事を終えたと思い込んでいる場合は、「まだ食べてませんよ」と高齢者の主張を否定するのではなく、「このおかず美味しいですよ」と感覚に訴えるようにします。
また、箸の使い方を忘れて拒否することもあります。そんな時は、さり気なく箸の使い方を実演してあげれば食事を開始するでしょう。認知症の人に恥を欠かせない配慮を忘れてはいけません。
それから、テーブルの上に食事と関係のない日用品など雑多な物が置いてあると、食事が始まることを理解できない場合もあります。机上を片付けて食事に無関係な物を乗せないことがポイントです。
このほかにもさまざまな介護のコツがあるため、よく調べておきましょう。